児玉研究室があいちシンクロトロン光センターで実験しました

 令和6年8月27日(火)、本校の児玉謙司准教授が主催する研究室(児玉研究室)の5年生があいちシンクロトロン光センターを訪れ、実験を行いました。本実験は、あいちシンクロトロン光センターが募集した2024年度成果公開無償利用事業課題に本校児玉研究室を含む合同チームによる研究が採択されたことから実施されたものです。

 今回、児玉研究室らのチームが取り組んだ研究は、牡蠣殻由来無焼成スマートタイル(以下、牡蠣殻タイル)における物質の結晶構造(原子の並び方や組み合わせ)を分析することでした。この牡蠣殻タイルは牡蠣殻粉末を化学反応させることで製造されますが、この化学反応において二酸化炭素が牡蠣殻タイルに吸収されるという興味深い現象が発生します。しかし、牡蠣殻タイルにおける二酸化炭素吸収のメカニズムは明らかになっていません。そこで、児玉研究室らのチームは牡蠣殻粉末を構成する物質が化学反応によってどのように変化しているのか、その物質を結晶構造レベルで分析することにより明らかにしようとしました。さらに、今回の実験では、様々な条件で製造された牡蠣殻タイルにおける物質の結晶構造も調べ、比較しました。今回の実験で得られたデータから、牡蠣殻タイルを構成する物質の化学反応を明らかにすることに加え、最も二酸化炭素を吸収する牡蠣殻タイル製造条件も解明できることが期待されます。

 児玉准教授は「今回の実験は、我々が普段行っているものづくり開発とは少し異なる基礎実験でした。しかし、ここで得られた結果は開発した“もの”がどんなものであるのかを裏付ける非常に重要な証拠になります。今回の実験結果はスマート建材の実用化に向けて大きく前進する一歩になると期待しています」と述べました。

※今回の実験は、鳥羽商船高専(児玉研究室)、ケアシェル株式会社、三重県工業研究所およびあいちシンクロトロン光センターが共同で実施したものです。
※児玉研究室は、廃棄されるものに価値を与えて創造的再利用する取り組みであるアップサイクルによる開発を専門としています。今回の実験は、鳥羽市周辺地域の名産である牡蠣養殖で廃棄された牡蠣殻をアップサイクルする研究開発の一環として行われました。

      

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