校長挨拶


和泉  充

 鳥羽商船高等専門学校は、本年8月で創立140周年を迎えます。非常に長い歴史のある学校です。本校の前身である鳥羽商船黌が、明治六大教育家の一人、近藤真琴先生によって1881年に創設されて以来、今年で140年、1967年に国立高等専門学校となってからは54年になります。現在、国立高等専門学校は全国に51校ありますが、我が国の高等専門学校が2004年に独立行政法人国立高等専門学校機構という一つの大きな組織に束ねられてから17年が経過しました。国内では「高専」と呼ばれ、また、海外では「KOSEN」という言葉で認識され、そのユニークな教育が、産業界はもとより、国際社会からも昨今高く評価されており、大学とともに我が国の高等教育機関です。

 

 高専(KOSEN)は創立当初は中堅技術者の養成を目的に創設されましたが、時代の変化と社会の要請に応え、15歳の中学卒業生を受け入れる5年一貫教育を基本としつつも、大学編入、専攻科の設置、学校の再編統合などを進め、高等教育機関としての性格をより強め、実践性と創造性を備えた地域と世界の両方で活躍する、科学的思考を身に着けた高度の技術者の育成に努めるようになりました。技術創造立国を支えてきた高専卒業生たちのめざましい活躍は、15歳からの早期専門教育が実証するところです。

 

 商船高専は全国に5校ありますが、他の高専とは異なった特別の使命を持っています。周りを海に囲まれた日本は、海上輸送によって必要な資源を輸入し、我が国独自の高度の生産技術やシステム構築により、工業製品を輸出して経済を発展させてきました。最近は、技術移転により、多くの製品の生産拠点が海外に移り、工業製品も輸入量が輸出量を上回る時代へと変化してきましたが、日本の貿易物資の99 %以上(重量ベース)が「船」で運ばれています。また、内航海運におきましても、特に貨物輸送の面で重要な役割を担っています。商船高専は、このような海上交通の担い手を総合的に育成するという点において重要な使命を持っています。さらに、経済のグローバル化、機械や情報産業技術の高度化が急速に進んでいる近年、工学系の分野においても、社会の要請に応えた高度の実践的技術者の育成が必要になっています。

 

 本校では全ての学生が心すべき三つの教育目標を掲げ、人間力にあふれた、創造性豊かで国際的に通用する、高度な実践的技術者の育成を行っています。

 一つ、人間性豊かな教養人となること。
 二つ、創造性豊かな技術者となること。
 三つ、国際性豊かな社会人となること。

 

 そして、本校は、高等専門学校ならではの特色ある教育、すなわち楔(くさび)形のカリキュラム(低学年から徐々に専門科目を導入し増やしていく)や実験・実習による体験重視型学習を取り入れています。本科(商船学科、電子機械工学科、制御情報工学科の3学科)と、その上に専攻科(生産システム工学専攻、海事システム学専攻の2専攻)があります。平成31年に電子機械工学科及び制御情報工学科を改組し、情報機械システム工学科を開設し、本年度第3学年まで在籍しています。本科で5年(商船学科では5年半)、専攻科に進んだ人はさらに2年間勉強し、実践的な工学の知識と技術を身につけます。また、最終学年になると大学と同じように卒業研究がありますので、入学当初から研究的思考・態度を身に付ける必要があります。卒業・修了後は、就職・進学と多様な道がありますが、もっと勉強や研究をしたい人には、本科卒業生にあっては専攻科進学、大学編入学、専攻科修了生では大学院進学という道が用意されています。

 

 本校では、よく学びよく遊べ、先輩・後輩や同級生仲間とともに青春時代を大いに学び、かつ楽しむべしということで、ロボットコンテスト(ロボコン)、プログラミングコンテスト(プロコン)、ディープラーニングコンテスト(DCON)などの諸活動、また体を鍛える体育系、さらに文化系のクラブや同好会の活動のほか、さまざまな課外活動に積極的に参加することを勧めています。また、修養と教育の場でもある学生寮では、教室やクラブ活動とはまた違った共同生活の場を通して、規律ある充実した学生生活が送れるように環境を整備しています。教職員一同、明るく活気あふれるキャンパスづくりに努め、個々の学生自身が持っている力を引き出し、伸ばし、高めていきたいと思います。

 

 新緑の下、進取・礼譲・質実剛健を理念とする本校では、商船学科、情報機械システム工学科の新入生が勉学に励んでいます。新入生オリエンテーションでは、スクールカウンセラーなどの講話の後、グループワークに取り組み発表会をしました。入学式では、他人を思いやり、志をたて進むよう話をしました。温かくも特徴ある、尖った一面をもつ高専として、SDGsを意識し、物流のグローバリゼーションやIoTの浸透により進化する産業社会で活躍する船舶の運航技術者、地域産業の創出や地域社会の持続可能な未来にも貢献できる実践的産業人材の育成を進めます。

 

 本校の詳細については、このホームページをご覧いただき、お気づきの点がありましたら、ご意見等を賜れば幸甚です。

 

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