校長挨拶


第24代 校長 和泉 充

鳥羽商船高専のホームページにようこそ

本校のホームページにようこそお越しくださいました。

はじめに

  全国の国立の高等専門学校(高専)が2004年に独立行政法人国立高等専門学校機構に束ねられてから18年が経過しました。本校も、その国立高専のひとつであり、我が国の高等教育機関として大学、短大とならび、高校から大学2年次程度までの通貫の学修に重ねて高度の技術者として専門教育を行う高専(高等専門学校)です。国内では「高専」、また、海外では「KOSEN」として知られており、そのユニークなしくみと教育が、産業界はもとより、国際社会からも高く評価されています。

校祖 近藤真琴翁

 鳥羽商船高専は長い歴史のある学校で、明治時代の6大教育家のひとりである校祖近藤真琴翁(右下写真 本校蔵)が明治8年(1875年)9月に芝新銭座二番地(現在の東京都港区浜松町)に航海測量習練所(後の商船黌(こう))として創基し、その分校として、明治14年(1881年)8月20日に三重県鳥羽町に鳥羽商船黌として創立されました。その後の変遷を経て、昭和42年(1967年)6月に国立鳥羽商船高等専門学校となりました。 令和7年(2025年)9月には、創基150周年・高専創立60周年を迎えます。

 

本校は15歳からの年月をかけて、志をもった学び続ける人を求め、育てます。

 

 高専(KOSEN)は創設当初は中堅技術者の養成を目的に創設されましたが、時代の変化と社会の要請に応え、15歳の中学卒業生を受け入れる本科5年(商船学科は5.5年)の通貫の教育の先には、FAST TRACKとしての産業界への就職のみならず国立大学等への大学3年次編入、専攻科進学、さらには大学院進学などの多様な進路を示しながら、実践性と創造性を備えた地域と世界の両方で活躍する、科学的思考を身に着けた高度の技術者の育成に努めています。技術創造立国を支えている高専卒業生たちのめざましい活躍は、15歳からの早期専門教育が実証するところです。(参考 下図を御覧ください)

 

 

商船学科と海事システム専攻

 本校は商船学科(5.5年、准学士の称号授与)専攻科海事システム専攻(2年 学士(商船学)の学位取得可)を擁しており、商船系高専4校とともに特別の使命を持っています。周りを海に囲まれ世界第6位のEEZをもつ日本は、海上輸送によって資源を海外から輸入し、生産技術やシステム構築により、製品を輸出して経済を発展させてきました。最近は、技術移転により、多くの生産拠点が海外に移り、製品も輸入量が輸出量を上回る時代へと変化していますが、日本の貿易物資の99 %以上(重量ベース)が「船」で運ばれています。また、内航海運も貨物輸送では重要な役割を担っています。商船高専は、我が国の物流を支える最新で高度な技術を習得した海事技術者、海技士資格をもつ海のスペシャリスト、海洋立国を支えるグローバルに活躍できる人材を育成するという点において重要な使命を持っています。特に海運業界は、GHG排出削減に向けた代替燃料への転換などの環境問題、自動運航船や洋上風力発電などへの事業展開など急速な技術革新とともにおおきく変貌しています。活躍する舞台、求められる能力も船上のみならず、先進技術の展開や海運にかかる総合的スキルを活かしたマネジメント力まで大きな期待が寄せられています。


「鳥羽商船高等専門学校 学生会 練習船鳥羽丸PV ~鳥羽丸のすべて~」
※2021年12月5日に開催された第56回海学祭配信

 

情報機械システム工学科と生産システム工学専攻

 本校は、平成31年(2019年)に電子機械工学科及び制御情報工学科を改組し、情報機械システム工学科(5年、准学士の称号授与)を開設し、令和4年度は電子機械工学科及び制御情報工学科の第5学年と新学科の第4学年までの学生が在籍しています。専攻科生産システム工学専攻(2年、学士(工学)の学位取得可)には、本校はじめ高専の本科を卒業して進学した学生が在籍しています。新学科入学後は、プログラミングを始めとする工学基礎を学び、基盤となる「情報」「電気電子」「機械」について順に学習し、上級学年では自らの個性や特性に合わせて「専門性」「志向性」を決定するオーダーメイド型カリキュラムを提供します。


情報機械システム工学科の概要

 

 地域課題を解決するPBL(Project Based Learning)チームに学年通貫で1年生から所属し、机上の学習に留まらず、地域産業や文化を理解し工学的な解決法を提案できる実践的技術者を目指します。地域や社会と一体となったコミュニティ型の教育を導入しています。本科を卒業して准学士の称号をもって就職、大学3年次編入、また専攻科に進んだ人はさらに2年間修学し、学位(工学)の取得が可能です。
 経済のグローバル化、機械や電気電子、情報産業技術の高度化、さらには新型コロナウィルス感染症の影響やデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速的に急進展する現在、国の教育基本振興基本計画の今後の目的としても、超スマート社会の実現に向かうイノベーションに対応するため、数理データサイエンス・AI、ロボット等の分野での「実践的・創造的な技術者の育成と起業精神の充実」や「社会実装教育」、「地域への貢献」、「国際化の推進」が要請されています。情報機械システム工学科はソフトとハードを結ぶ教育を基盤にそれらの要請に応えます。

 

 本校は全ての学生が心すべき三つの教育目標を掲げ、人間力にあふれた、創造性豊かで国際的に通用する、高度な実践的技術者の育成を行っています。

 

一つ、人間性豊かな教養人となること

二つ、創造性豊かな技術者となること

三つ、国際性豊かな社会人となること

 

 そして、本校では、大学と同じように卒業研究があります。入学当初から科学的思考・態度を身に付ける必要があります。本校では、「よく学びよく遊べ、先輩・後輩や同級生仲間とともに青春時代を伸び伸びと大いに学び、かつ楽しむべし。」とし、ロボットコンテスト(ロボコン)、プログラミングコンテスト(プロコン)、ディープラーニングコンテスト(DCON)などの諸活動、また体を鍛える体育系、さらに文化系のクラブや同好会の活動のほか、さまざまな課外活動に積極的に参加することを勧めています。

 

 入学後の修学と学生生活については、学校と学校の応援団である保護者各位との緊密な連携のもと、担任教員はじめ各主事室が事務部と連携して対応しています。女子学生数も、約500名の全学生のうち100名を超えており、個性の異なる多様な学生が勉学や実験・実習を共にして協働することで新たな価値や発見を互いに学ぶ環境が醸成されています。

 

 修養と教育の場でもある学生寮「暁(あかつき)寮」では、教室やクラブ活動とはまた違った共同生活の場を通して、集団と個の行動が調和した「規律ある充実した楽しい学生生活」が送れるように環境を整備しています。外国からの留学生も在学しています。教職員一同、明るく活気あふれるキャンパスづくりに努め、個々の学生自身が持っている力を引き出し、伸ばし、高めていきます。

 

 進取・礼譲・質実剛健を理念とする本校入学式では、他人を思いやり、志をたて進むよう話をしています。温かくも特徴ある、尖った一面をもつ高専として、学生が、SDGsのためのSociety5.0の超スマート社会への変革を意識し、物流のグローバリゼーションやIoTの浸透により進化する情報と機械がおりなす産業社会で活躍する意欲をもって日ごろの勉学に取り組めるよう努めています。
 常に前向きに取り組む意欲のある中学生を求めます。

 

 本校の詳細については、このホームページをご覧いただき、お気づきの点がありましたら、ご意見等を賜れば幸甚です。同窓会ともしっかり連携していきます。

 

参考)

1.高専とは何かを日本語と英語で示します。


※図:文部科学省高等教育局専門教育課作成

独立行政法人 国立高等専門学校機構(英語ページ)
https://www.kosen-k.go.jp/english/what/

注)商船学科では、大型練習船による乗船実習を含めた5年間と6か月で卒業となります。

リンク集

学科紹介等の動画リンク集 | 鳥羽商船高等専門学校 (toba-cmt.ac.jp)

 オープンキャンパス | 入学案内 | 鳥羽商船高等専門学校 (toba-cmt.ac.jp)

 

地域と世界で活躍する、科学的思考を持つ高度の技術者を育成に向けて

 

 船乗りといえば「スマートで、目先がきいて、几帳面、負けじ魂,これぞ船乗り」が引用されます。このような気質をもった人は海陸を問わず社会から求められています。本校校祖で明治6大教育家のおひとりの近藤真琴翁の教育理念は「進取、礼譲、質実剛健」、同じ近藤翁が創立された攻玉社(現学校法人攻玉社学園)では「誠意、礼譲、質実剛健」が校訓とされ基本理念は、脈々と継承実践されています。大規模に社会変化が進む世の中で、本校は15才から20才代までの成長期を通貫する高等教育機関“高専(KOSEN)”として学生の成長の見守りと支援に日々努めています。

 変化する社会のニーズに対応して、産業界や三重県など自治体と連携し、国の産業・経済構造を踏まえ、尖った2学科である商船学科と情報機械システム工学科は、物流を支える海運・海事と第4次産業革命(インダストリー4.0)に貢献する産業人財を育てます。国は、産業・技術基盤としてグリーン、デジタル、スタートアップ、イノベーションを掲げ、コンピューティングにかかる半導体、クラウドや工作機械・産業用ロボットなどをサプライチェーンの重点物資としています。本校の動きを添えてあるQRコードよりご参照ください。以下はポイントです。

 

 

 鳥羽商船高専は令和5年9月の商船学科・専攻科卒業修了生をもって7959名を数えます。来年3月には、8000名を超えることとなります。11月5日には、高専制度創設60周年を記念した「高専の森」イベントとして鳥羽のヤマトタチバナ(大和橘)の植樹式を挙行しました。海運業界とも練習船船員の交流や災害時の協力などの項目を含めて包括連携を締結するなど、東海地区にあって5つの商船高専の中で太平洋に直結して名古屋・四日市港を擁する輻輳海域伊勢湾岸に位置する商船系高専として全学一致して修学環境整備に努めています。歴史と文化が育んだ国立公園にある高等専門学校として「マリンリゾート・コアキャンパスの創成」を掲げており、教職員一同、地域と世界で活躍する科学的思考を持つ高度の海と陸のエンジニアを育てます。2025年(令和7年)の創基150周年と高度情報工学コースの学生受け入れ、練習船鳥羽丸代船就航、浮き桟橋の更新完成に向けて各界各位の皆様のご期待とご支援をどうか宜しくお願い申し上げます。

 

校報 2023年10月

同窓会報 2023年10月

【その他の校長メッセージ】
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校報232号より(2021/12/17)
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